下関でお好み焼き屋を始めた日のこと|弘々家創業1993年の記録

「なんで下関でお好み焼き屋を?」と聞かれることが、今でもたまにあります。

正直に言えば、最初から壮大な夢があったわけじゃないんです。ただ、鉄板の前に立つことが好きだった。焼きたての一枚を渡したときに「おいしい!」って顔になるお客様を見るのが好きだった。それだけで32年、気づいたらここまで来ていた、というのが本当のところです。

でもたまに振り返ると、「あの日始めていなかったら」と思うことがあります。今日は、弘々家がどうやって生まれたのか、1993年の記録を少しだけ書いてみようと思います。地元・下関を愛し、この街に育てていただいた感謝を込めて。

こんな方におすすめ

  • ✅ 弘々家がどんなお店なのか、背景から知りたい方
  • ✅ 下関・山の田エリアに昔から通っている地元の方
  • ✅ 食べログ百名店に選ばれた理由を知りたい方
  • ✅ 「本物の味」を作り続けた職人の物語に興味がある方
  • ✅ 初めて弘々家を知って、お店のことをもっと知りたい方
目次

1993年、下関・山の田でのスタート

弘々家が産声を上げたのは1993年。山口県下関市山の田中央町、今と変わらないこの場所です。

当時の下関・山の田エリアは、今とは少し違う顔をしていました。近所には市立大学(下関市立大学)があり、学生さんたちがうろうろしていて、地元の家族連れや仕事帰りのサラリーマンが夕方になると街に出てくる。そんな、ゆったりとした空気感の住宅地でした。

「ここでお好み焼き屋をやろう」と決めた理由を一言で言うなら、この街が好きだったから。下関で生まれ育って、この街の人たちに囲まれて、「地元の食卓の一部になりたい」という気持ちがどこかにあったんだと思います。

開店当初から、一つだけ決めていたことがありました。「一枚一枚、手を抜かずに焼く」こと。どんなに混んでいても、どんなに忙しくても、全てのお好み焼きを自分の手で焼き上げる。この誓いだけは、32年間一度も変えていません。

7,000回の失敗が生んだ「パリパリ麺」の秘密

弘々家の広島お好み焼きを初めて召し上がったお客様がよく言うのが、「麺がこんなにおいしいなんて!」という言葉です。

「麺がこんなにおいしいなんて!」

40代・男性

実は、このパリパリ麺にたどり着くまでには、数えきれないほどの試行錯誤がありました。生麺を鉄板でじっくりきつね色に揚げ焼きにする、この技法。7,000回以上の試行錯誤の末にようやく完成した弘々家だけの麺です。

ヒントをくれたのは、下関が誇る郷土料理「瓦そば」でした。熱した瓦の上でお茶そばをパリッと焼くあの食感。「これだ」と思ったとき、すぐに鉄板に向かいました。でも、言うは易く行うは難し。火加減、時間、麺の厚さ、水分量。少しでも変わると、パリパリにならなかったり、焦げてしまったり。

外はパリパリ、中はふわふわのキャベツと豚バラ肉が重なった一枚。これが弘々家の広島お好み焼きです。「広島風ってどう違うの?」とよく聞かれますが、大阪風が具材を混ぜて焼くのに対し、広島風は生地・野菜・麺を丁寧に層に重ねて焼き上げます。その層の中に、パリパリ麺がどっしりと居座っているのが弘々家流です。

迷ったときはぜひ「贅沢6種盛り」を。殻付き海老・安岡ねぎ・チーズ・イカ天・もち・イカが一枚に凝縮された、弘々家の全てが詰まった一皿です。

「だし掛け出汁巻き玉子」が生まれた日

もう一つ、弘々家を語るうえで欠かせないのが「だし掛け出汁巻き玉子」です。

このメニューは、山梨・神奈川の鉄板焼き職人から伝授された秘伝のレシピが原点にあります。注文が入ってから3個の卵を素早く鉄板で巻いて、熱々のカツオ出汁をジュワッとかけて提供する。この「ジュワッ!」の瞬間を目の前で見たお客様が、毎回驚いてくださるんです。

カウンター席に座っていただくと、この出汁をかけるパフォーマンスが目の前で繰り広げられます。音、香り、湯気。「動画で見て、すぐ来ました!」という声をいただくのも、このシーンがSNSで広まっているからかもしれません。

「動画で見て、すぐ来ました!」

20代・男性

グランドキュージーヌ金賞を受賞したこのメニュー、プレーン・大葉チーズ・ネギチーズの3種があります。お好み焼きが焼き上がるまでの間につまんでいただくのが、弘々家の流儀でもあります。

✓ ここまでのポイント

  • 弘々家は1993年、下関・山の田に創業。「一枚一枚、手を抜かずに焼く」という誓いは32年間変わっていない
  • パリパリ麺は地元・下関の「瓦そば」からヒントを得て、7,000回以上の試行錯誤の末に完成した弘々家だけの麺
  • 「だし掛け出汁巻き玉子」は秘伝レシピから生まれた金賞受賞メニュー。カウンター席でのライブパフォーマンスは必見

地元・下関に育てていただいた32年間

食べログお好み焼き百名店に4年連続(2022・2023・2024・2025)で選んでいただいたとき、率直に言って「やっと認めてもらえた」という気持ちよりも、「地元のお客様のおかげだ」という気持ちの方が大きかったです。

学生時代から通ってくれている方が、今は子どもを連れてきてくれる。「おばあちゃんがすごく喜んでくれました」という声を聞いたとき、この仕事をしていてよかったと改めて思いました。

「おばあちゃんがすごく喜んでくれました」

40代・女性・家族連れ

北部公民館まで徒歩1分、山の田バス停から30秒。近所の方が気軽に立ち寄れる場所であることが、今もこの店の根っこにあります。ベビーカーで来てくれる若いお母さんも、正座イスを使いながらゆっくりしてくれるご年配の方も、全員が「また来るね!」と言って帰ってくれる。それが32年間の支えです。

還暦を過ぎてもスノーボードを滑り、フルマラソンを走り、ツールド下関に出場している。「体を動かし続けることと、鉄板の前に立ち続けることは同じだ」と、いつも思っています。休みの日は世界各地のごはんを食べ歩いて、「この味をどう弘々家の一皿に還元できるか」を考える。美味しい一枚を焼くためなら、どこまでも足を運びます。

これからも、一枚一枚を丁寧に

創業から32年。下関という街が好きで、鉄板の前が好きで、「おいしい!」という顔が好きで、気づけばここまで来ていました。

「常連として通える行きつけのお店が欲しい」という方の声を、よく耳にします。チェーン店ではなく、顔なじみになれる、「いつものやつ」が通じる個人店。弘々家はそういうお店でありたいと思っています。

初めて来てくれた方が、2回目も来てくれたとき。その2回目が、弘々家にとって本当の「はじまり」です。

下関・山の田でお待ちしています。ばっちこーい!


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【広島お好み焼き 弘々家】
山口県下関市山の田中央町1-13 武嶋ビル
営業時間:11:30〜15:30 / 17:30〜23:00(月曜定休)
駐車場:8台無料(店舗前2台・山の田バス停裏手6台)

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