広島風お好み焼きのソースにこだわる理由|6種スパイスブレンドの話

「先生、ソースって何を使っているんですか?」

カウンター席に座ったお客様から、ふとそう聞かれたのはもう何年前のことでしょうか。最初は「ソースですよ、ソース」と笑って答えていたんですが、お客様の目が真剣で。そこからしばらく、ソースの話で盛り上がったことを今でもよく覚えています。

鉄板の前に立って35年以上。毎日何枚も焼いてきた中で、「ソース」という存在をちゃんと言葉にしてみたことがなかったかもしれない。でも実は、弘々家のソースには積み重ねた理由があります。今日はそれをできるだけ丁寧にお話しします。広島風お好み焼きがはじめての方にも分かるように書きますので、ゆっくり読んでいただけると嬉しいです。

こんな方におすすめ

  • ✅ 広島風お好み焼きをはじめて食べる方・食べに来る予定の方
  • ✅ お好み焼きのソースって何が違うのか知りたい方
  • ✅ 弘々家のこだわりを知った上で来店したい方
  • ✅ 自宅でお好み焼きを作るときにソース選びで迷っている方
  • ✅ 「大阪風」と「広島風」の違いをちゃんと理解したい方
目次

そもそも、広島風お好み焼きにとってソースとはどんな存在か

大阪風のお好み焼きは、具材を生地に混ぜ込んで焼きます。一方、広島風は違います。薄い生地の上に山盛りのキャベツ、豚肉、そして麺を重ねて、層にして焼き上げる。弘々家の場合はそこに、キツネ色になるまで鉄板でじっくり揚げ焼きした「パリパリ麺」が加わります。

層になって仕上がった一枚のお好み焼きに、ソースを塗るのはいちばん最後の工程です。つまりソースは「仕上げ」であり、それまで積み重ねてきた素材と焼きの仕事を、最終的にひとつにまとめる役割を持っています。

ソースが合わないと、どれだけ丁寧に焼いても味がバラバラに感じられてしまう。逆に言えば、ソースがぴたりとはまったとき、キャベツの甘み・豚肉の旨み・パリパリ麺の香ばしさが一気に「まとまった美味しさ」になる。そういう存在です。

「大津屋醤油×弘々家ソース」が生まれた、偶然のような必然

弘々家で使っているソースは、市販のお好み焼きソースをそのまま使っているわけではありません。下関市内の老舗醤油蔵「大津屋醤油」の醤油をベースに、弘々家オリジナルのスパイスブレンドを組み合わせたハイブリッドソースです。

なぜ醤油を合わせることになったのか。きっかけは本当に偶然で、ある日のまかない中に「これ、合わせてみたらどうやろ」と試してみたのが始まりでした。スパイスを少しずつ変えながら、何度も何度も試食を重ねて。「これだ」と思うバランスに辿り着くまでに、相当な時間がかかりました。

使っているスパイスは全部で6種類。詳細なレシピはさすがにお伝えできないのですが(笑)、大まかな方向性をお話しすると、「甘み・酸み・辛み・旨み・香り・深み」それぞれを担当するスパイスを選んでいます。一つひとつのスパイスが主張しすぎず、でも抜けると物足りなくなる、そういう配分にこだわっています。

このソースは豚キムチにも使っていて、「黄家キムチ」の本格的な辛みと合わさることで、ハイボールが止まらなくなる一品になっています。ソースのことを考えていると、ついそちらの話もしたくなってしまいますね。

✓ ここまでのポイント

  • 広島風お好み焼きにとってソースは「仕上げの要」。素材と焼きをひとつにまとめる最終工程。
  • 弘々家のソースは大津屋醤油をベースにした6種スパイスブレンドのオリジナル。偶然の発見から試行錯誤で完成した。
  • 甘み・酸み・辛み・旨み・香り・深みを一種類ずつのスパイスで担い、バランスで勝負するブレンド設計。

ソースは「量」よりも「塗り方」が大事という話

ここから少し、実際の焼き方に踏み込んでお話しします。初めてお好み焼きを自宅で作る方が「なんか違う」と感じる原因のひとつが、ソースの使い方にあることが多いです。

たっぷりかければいいわけではない。ソースを重くかけすぎると、せっかくパリパリに仕上げた麺の食感が死んでしまいます。弘々家では、焼き上がった一枚の表面に刷毛で薄く、でも均一に塗るのが基本です。「塗る」というより「なじませる」という感覚に近い。

塗るタイミングも重要で、鉄板から下ろす直前のほんの少し熱が残っている状態で塗ることで、ソースが表面になじみながら軽く香ばしさが増します。この数秒の判断が、毎回一枚一枚、手焼きだから調整できることです。

「ソースは自分でかける」スタイルのお好み焼き屋さんもありますが、弘々家では全工程を店長が仕上げた状態でお出しします。ソースの塗り加減も含めて、一枚の完成形として提供したい。それが弘々家の流儀です。

「麺がこんなにおいしいなんて!」

40代・男性

この言葉、初めていただいたときは正直うれしくて鉄板の前でひとり噛みしめていました。麺の食感を活かすには、ソースの量と塗り方が欠かせない。そういうことを積み重ねてきた結果が、こういう言葉につながっているんだと思っています。

ソースを知ると、お好み焼きの楽しみ方が広がる

弘々家では、マヨネーズをかけてから食べるお客様も多いです。ソースの上にマヨネーズを合わせると、酸みがまろやかになって、キャベツの甘みがより引き立ちます。マヨネーズを細く絞ってデコレーションする「マヨアート」は、お子様にも大人気のひと手間です。

また、弘々家の贅沢6種盛り(殻付き海老・安岡ねぎ・チーズ・イカ天・もち・イカが一枚に凝縮されたメニューです)のように、トッピングが豊富な一枚はソースとの相性が特に大切になります。チーズの塩気やイカ天の風味があるので、ソースをやや控えめに塗るのが弘々家流。食材を活かすためにソースの量を変える、こういった調整を毎回一枚一枚やっています。

ちなみに、お好み焼きをつまみながらお酒を楽しまれる場合、弘々家ソースはハイボールとの相性が抜群です。スパイスの香りがハイボールの炭酸と合わさって、互いを引き立て合う。仲間うちの飲み会や、仕事帰りにカウンターでひとり飲む夜に、ぜひ試してみてください。

「ここに来ると元気が出るんです!」

10代・女性(学生)

この言葉が一番、弘々家らしいかもしれないと思っています。ソースの話をしながら、結局たどり着くのはそこなんです。美味しいものを食べると、元気になる。それだけです。

まとめ|ソースへのこだわりは、一枚への敬意

広島風お好み焼きにとってのソースは、「最後に塗るもの」ではなく「一枚を完成させる決め手」だと、35年以上鉄板の前に立ち続けて思うようになりました。

6種スパイスブレンドと大津屋醤油の組み合わせは、偶然のきっかけから生まれましたが、今の配合に落ち着くまでの試行錯誤は決して偶然ではありません。どんなに混んでいても、手を抜かずに一枚一枚丁寧に焼き上げてきた積み重ねの中で、自然と形になったものです。

「また来るね!」のひと声が、次の一枚を焼く力になっています。下関・山の田で32年、食べログお好み焼き百名店に4年連続で選んでいただいた弘々家のソースを、ぜひ実際に味わいに来てください。カウンター席なら、焼き上げる工程も間近で見ていただけます。

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