瓦そばからヒントを得たパリパリ麺|下関の食文化が生んだ一枚

「広島風お好み焼きは、何度か食べたことがある。でも、どこで食べても麺の印象が薄くて……」——そんな経験、ありませんか?

実は私も、この店を始めた頃ずっとそこが引っかかっていました。広島風の命ともいえる麺が、焼いた後にしんなりしてしまう。せっかくのキャベツの甘みや豚の旨みを、もっとしっかり受け止めてくれる麺にできないものか——そう考え続けていた時に、ふと頭に浮かんだのが下関の「瓦そば」でした。

熱した茶そばをパリッとした食感に仕上げる、あの調理の発想。それが、弘々家のパリパリ麺が生まれるきっかけになった瞬間です。今回は、下関という土地の食文化が育てた「一枚」の話を、少し丁寧にお伝えしたいと思います。

こんな方におすすめ

  • ✅ 広島風お好み焼きの麺にこだわりを感じたことがある方
  • ✅ 瓦そばで知られる下関の食文化に興味がある方
  • ✅ パリパリ麺という言葉を聞いて、どんな食感か気になっている方
  • ✅ 食べログ百名店の味を、実際に体験してみたい方
  • ✅ 下関・角島観光の途中に、地元で愛されるお店へ立ち寄りたい方
目次

「瓦そば」という下関の発明から学んだこと

瓦そばをご存知でしょうか。熱した瓦の上に茶そばを敷き、牛肉や錦糸卵をのせて食べる、長門市川棚温泉発祥の郷土料理です。下関に暮らしていると、瓦そばはごく身近な存在。子どもの頃から何度となく食べてきた味です。

あの料理で面白いのは、茶そばが瓦の熱でじわじわと焼かれ、外側はカリッと香ばしく、内側はまだしっとりしているという二層の食感です。焼けた麺に出汁をつけながら食べると、その対比がたまらない。

「これだ」と思ったのは、広島風の麺を鉄板で同じように仕上げられないかと考えた瞬間でした。ただし、瓦そばをそのまま再現するわけではありません。広島風お好み焼きの構造——生地、キャベツ、豚肉、そして麺という層の重なり——の中で、麺がしっかりと「顔を持つ」ようにする。そのための仕上げ方として、鉄板での揚げ焼きという手法にたどり着いたのです。

生麺を鉄板の上に広げ、油をなじませながらじっくりとキツネ色に仕上げていく。焦がすのではなく、香ばしく色づかせる。外はパリッと、中はふんわりと——この微妙な火加減を安定させるのに、どれだけの時間がかかったか。7,000回を超える試行錯誤の積み重ねが、今の弘々家の一枚を作っています。

7,000回の試行錯誤|麺との向き合い方

「7,000回」という数字を聞いて、大げさに感じる方もいるかもしれません。でも、鉄板の前に35年以上立ち続けてきた人間からすると、それは「積み上げた日々の数」に過ぎないのです。

麺の太さ、水分量、油の量、鉄板の温度、焼く時間——そのどれか一つが変わるだけで、仕上がりはがらりと変わります。湿度の高い梅雨の時期は、乾燥した冬の日と麺の状態がまったく違う。季節が変わるたびに微調整が必要で、「これで完成」という瞬間は今もまだ探し続けています。

夏の暑い盛りには鉄板の蓄熱が上がりやすく、麺が想定より早くパリッとしてしまうことがある。反対に、冬の寒い日には鉄板が冷えた状態から立ち上げる際に、麺に火が通るまでの時間を丁寧にコントロールしなければなりません。同じ一枚でも、季節によって焼き方は変わる——それが「手焼き」の本質だと思っています。

下関という土地は、関門海峡から吹く風のおかげで湿度の変化が大きい場所でもあります。その環境の中で鉄板と向き合ってきたことが、結果として弘々家のパリパリ麺を育ててくれたのかもしれません。

✓ ここまでのポイント

  • 弘々家のパリパリ麺は、下関の郷土料理「瓦そば」の調理発想からヒントを得て生まれた
  • 生麺を鉄板でキツネ色に揚げ焼きする独自技法は、7,000回を超える試行錯誤の末に完成
  • 季節や気温・湿度によって火加減を変える「手焼き」の積み重ねが、この一枚を支えている

安岡ねぎ、黄家キムチ——下関の食材が麺を活かす

パリパリに仕上がった麺は、それだけで食べるものではありません。その上に重なる食材が、麺の食感をさらに引き立てる役割を果たします。

弘々家で使っている下関特産の安岡ねぎは、甘みが強く、火を通すとふっくらとした柔らかさになるのが特徴です。パリッとした麺の歯ごたえと、ねっとり甘いねぎのコントラストが、一口ごとに違う表情を見せてくれます。安岡ねぎは冬から春にかけてが旬の時期ですが、弘々家ではできる限り地元産のものを使い続けています。

豚キムチのメニューに使っている黄家のキムチも、下関ならではの食材です。市内の焼肉店も仕入れに来るという本格派の韓国食材専門店のキムチは、発酵のコクと辛みのバランスが絶妙で、鉄板の熱でさらに香りが立ちます。お好み焼きが焼き上がるまでの間、豚キムチをつまみながらハイボールを一杯——それが弘々家の夜の過ごし方として常連さんに広まっている定番スタイルです。

殻ごと食べられるソフトシェルシュリンプも、弘々家の一枚に欠かせない存在です。殻のザクッとした食感が、パリパリ麺と重なって、一枚の中に複数の「食感の層」を生み出してくれます。

「麺がこんなにおいしいなんて!」

40代・男性

このお言葉、本当に嬉しかったです。お好み焼きの主役は麺ではないかもしれない——でも、麺が脇役に徹しながらも存在感を放てるのが、弘々家が目指している一枚の形です。

「食べログ百名店」の称号が示すもの

2022年から2025年まで、4年連続で食べログお好み焼き百名店に選出していただいています。この称号は、私が「取りにいった」ものではなく、来てくださったお客様の積み重ねが評価していただいた結果だと受け止めています。

下関・山の田というエリアは、観光の中心地ではありません。唐戸市場や関門海峡から少し離れた、地元の住宅街の一角にある店です。それでも遠方から「食べログを見て来ました」「SNSで動画を見て、どうしても食べたくて」と訪ねてきてくださるお客様が増えているのは、パリパリ麺という体験が言葉や画像を超えて伝わっているからではないかと思っています。

「動画で見て、すぐ来ました!」

20代・男性

北九州から関門橋を渡って来てくださる方、角島や唐戸市場の観光と組み合わせて立ち寄ってくださる方——そういった遠方のお客様が「来てよかった」と思える一枚を焼き続けることが、弘々家の使命だと思っています。

グランドキュージーヌ広島お好み焼き部門で金賞を受賞できたのも、この下関の地で地元の食文化と向き合い続けてきた積み重ねがあってのことです。瓦そばという下関の発明に学び、安岡ねぎという下関の恵みを使い、下関という土地に育てていただいた一枚——それが弘々家のパリパリ麺です。

まとめ|下関で、この一枚に会いに来てください

瓦そばから得たヒント、7,000回を超える試行錯誤、季節ごとに変わる火加減の調整、そして下関の食材との出会い——弘々家のパリパリ麺には、そういった時間と土地の積み重ねが詰まっています。

ランチタイム(11:30〜15:30)もディナータイム(17:30〜23:00)も、通常メニューをフルでご用意しています。一人でカウンター席からじっくり鉄板を眺めていただいても、家族や仲間と座敷席でわいわい過ごしていただいても大歓迎です。

はじめての方には、弘々家の魅力をまるごと体験できる「贅沢6種盛り」をおすすめしています。殻付き海老・安岡ねぎ・チーズ・イカ天・もち・イカが一枚に凝縮された、店主渾身の一皿です。合わせてだし掛け出汁巻き玉子も、ぜひ。熱々のカツオ出汁がジュワッとかかる瞬間は、目の前でしか味わえません。

混雑時には少しお待ちいただくこともありますが、電話でご予約いただければ焼き上がりに合わせてご案内できます。お好み焼きが仕上がるまでの間は、豚キムチやとん平焼きをつまみながらお待ちください——それもまた、弘々家の楽しみ方のひとつです。

下関・山の田でお待ちしています。ばっちこーい!

今すぐ予約・注文する(電話:083-254-4654)

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